老人保健施設で働く薬剤師の仕事とは?その特徴や求人数について解説

薬剤師の勤務先には、調剤薬局やドラッグストアをはじめ、さまざまなものがあります。そのなかでも、最近注目を集めているのが老人保健施設です。老人保健施設での薬剤師の仕事は、病院や調剤薬局での仕事と異なる特徴があります。

この記事では、老人保健施設がどんな場所であるかを解説するとともに、そこで働く薬剤師の仕事内容や求人数について解説します。

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代表的な薬剤師の勤務先

薬剤師の職場として多くのひとがイメージするのは、調剤薬局ではないでしょうか。実際に薬剤師として働く人の過半数が、調剤薬局を勤務先として選んでいるとの指摘もあるくらいです。調剤薬局は、数多くの病院から出される処方せんを受け付けているため、取り扱う薬の種類が多くなるのが特徴です。

病院によっては院内の調剤所で薬を出すところもあります。このような病院や診療所内の調剤所で働く薬剤師は、一般的に「病院薬剤師」と呼ばれます。病院薬剤師の主な仕事は、入院患者や外来患者への服薬指導や薬の調合、注射調剤業務などです。

ときには患者さんの抱える薬に関する疑問や不安を解消するため、患者さんの相談にのることもあります。非常勤の薬剤師として働きたい人に人気の職場が、ドラッグストアです。ドラッグストアは、現在病気を抱えている人のみならず、病気の予防や健康相談などが目的の人もやって来るのが特徴です。

この他にも、製薬会社に勤務して新薬の研究開発に携わる薬剤師や、公務員として保健所や薬学系技術職員として働く薬剤師もいます。

老人保健施設とはどんな施設なのか

従来の薬剤師の職場は、先ほど紹介した調剤薬局や病院、ドラッグストアなどが大半を占めていました。しかし昨今、このような状況に変化が起きています。この変化をもたらしているのが、年々加速している少子高齢化です。

高齢化が進むにつれ、介護を必要とするお年寄りも増加し、高齢者の生活を支える施設の需要が高まっています。この社会の動きと連動して、薬剤師が働く場所に「老人保健施設」という選択肢が加わったのです。

老人保健施設とは、介護が必要な65歳以上の高齢者を対象に、医療的ケアやリハビリを行う介護保険施設です。老人保健施設は、入居期間に制限が設けられていない特別養護老人ホームと異なり、回復後自宅に戻ることを前提としています。

老人保健施設に入所する目的は自宅復帰であるため、入居期間は3~6カ月の期間限定です。

この期間中に、作業療法士や理学療法士のサポートのもと、身体機能回復のためにリハビリを行います。また老人保健施設では、要介護状態にある高齢者が快適に過ごせるよう、食事や入浴、排泄などの介助も行います。

老人保健施設における薬剤師の仕事とは

老人保健施設に勤務する薬剤師の仕事は、病院や調剤薬局に勤める薬剤師同様、調剤が中心です。しかし、老人保健施設で行う調剤と病院や調剤薬局で行う調剤には、大きな違いがあります。その違いとは、処方内容に変化があるかどうかです。

病院や調剤薬局にやって来る患者さんは日々異なります。また個々の患者さんが抱える病気もそれぞれ違うため、当然処方内容も違ってくるのです。一方、入所しているお年寄りに対して薬を処方する老人保健施設では、いつも通りの薬を出すことが多くなります。

施設に入所できる期間が3~6カ月と比較的短いとはいえ、病院や調剤薬局ほど薬を必要とする人がころころ変わることはありません。したがって、病院や調剤薬局では処方内容が日々変化するのに対し、老人保健施設では一定の処方内容を淡々とこなしていく場面が多くなるのです。(参考サイト > 薬剤師の転職

調剤以外にも、薬のピッキングや一包化、薬剤の管理や発注などが老人保健施設で働く薬剤師の仕事として挙げられます。総合的にみて、病院や調剤薬局での仕事より老人保健施設での仕事のほうが、画一的でイレギュラーな仕事が少ないといえるでしょう。

老人保健施設で薬剤師として働くメリット

薬剤師が老人保健施設で働く最大のメリットは、病院や調剤薬局で働くよりも働き方の自由度が高いことです。老人保健施設における自由度の高い働き方を象徴するのが、融通がきく勤務時間です。もちろん老人保健施設で働く薬剤師の求人にも、正社員としてフルタイムでの勤務が前提とされているものもあります。

しかしその一方で、「午前か午後のみ」や「時短勤務OK」など柔軟な勤務時間に対応してくれるアルバイトやパートの求人も存在します。また勤務時間同様、勤務日数に関して自由度の高い職場が選べるのも、薬剤師として老人保健施設で働くメリットのひとつです。

老人保健施設のパートやアルバイトの求人では、週3日程度の勤務を求めているものが多く、なかには週2日で勤務可能な求人もあります。また勤務日の自由度が高い求人では、勤務する曜日も自由に決められることが多いです。

薬剤師として老人保健施設で働くメリットは、勤務時間や日数の自由度が高いことばかりではありません。一定の仕事をこなす場面が多い老人保健施設では、病院や調剤薬局よりも残業が少ないこともメリットとして挙げられます。

病院や調剤薬局では、処方内容が日々変化することに加え、次々にやって来る患者さんに対応し薬を処方します。その結果、薬歴の記載や翌日分の薬の準備などが滞り、残業せざるを得なくなることが多いのです。病院薬剤師の場合には、これらに加えて急患への対応や病棟業務などにより、定時での帰宅が難しくなります。

一方、老人保健施設で働く薬剤師の場合には、求められる仕事がある程度固定化されています。たとえイレギュラーな業務が発生したとしても、新しい処方せんに合わせて調剤を行うくらいなので、残業が必要になるほど業務がひっ迫することが少ないのです。

老人保健施設の求人は他とくらべて少ない傾向がある

老人保健施設で働く薬剤師の求人は、多くの転職サイトや求人検索サイトに掲載されています。しかし、病院や調剤薬局からの求人数よりも、老人保健施設からの求人数のほうが圧倒的に少ないのが現状です。したがって、薬剤師として老人保健施設で働くのは、病院や調剤薬局で働くよりも狭き門であるといえるでしょう。

しかし、だからといって老人保健施設で働くことを諦める必要はありません。

確かに、勤務地やお給料などの希望にマッチする老人保健施設の求人を探すのは、病院や調剤薬局の求人を探すよりも難しいのは明らかです。しかし老人保健施設を運営するには、入所者300人に対して1人の薬剤師の配置が求められるため、確実に薬剤師として老人保健施設で働く機会は存在します。

たとえ入所者が300人以下の施設であっても、入所者数に応じた非常勤の薬剤師を配置する必要があるのです。したがって老人保健施設の求人数は、病院や調剤薬局の求人数と比較すれば少ないものの、確実に存在しているのです。

諦めずに探し続けることで、あなたにとって働きやすい老人保健施設が見つかるでしょう。

老人保健施設はプライベートと仕事を両立したい薬剤師におすすめ

老人保健施設での薬剤師の仕事は、病院や調剤薬局での仕事よりも、勤務日や勤務時間に関して自由度が高いのが特徴です。また老人保健施設での仕事は画一的であるため、病院や調剤薬局よりも残業が少ないといえます。以上のことから、老人保健施設は子育てや趣味の時間などのプライベートと仕事を両立したい薬剤師にぴったりの職場なのです。